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ビル管理法における害虫駆除と害虫防除、業者への依頼

ビルを管理していると避けて通れないのが害虫です。古いビルなら発生するのは想像できますが、最新のビルでも害虫が侵入する可能性があります。害虫は生命力が強く、食べ物のある場所や湿度、温度が高い場所を好んで侵入します。

害虫駆除を行わないと、ネズミ等が電線をかじってショートを引き起こし、最悪の場合は火災につながる可能性があります。また、建物の外観に悪影響を与え、感染症や食中毒のリスクを引き起こす可能性もあります。

害虫駆除はビル管理者の義務です。しかし、ビル管理において害虫駆除についての知識を得る機会は少ないかもしれません。そこで今回の記事では、ビル管理の害虫駆除について解説をします。

ビル管理における害虫駆除とは

ビル管理法では、床面積が3000㎡以上の商業施設やオフィスビルなどは「特定建築物」とされ、6カ月に一度、害虫の生息調査が義務付けられています。
生息調査では、実際の発生場所や生息場所、侵入経路を調査します。
たとえば、ネズミのふんを発見すればネズミが生息していると予測できます。もし実際に目撃したなど、明らかにネズミが生息している場合は、害虫駆除を行う必要があります。

また、調査結果に基づいて、駆除だけでなくネズミなどの発生を防止するために必要な対策も講じる必要があります。
害虫の調査は建物管理者の責任の元で行われますが、実際の調査と駆除は外部の業者に委託することが一般的です。

IPMとは

IPM(総合的有害生物管理)は、ビル管理において重要な考え方で、人の健康へのリスクや環境への負荷を最小限に抑えることを目的とした害虫の管理を行うことを指します。
IPMは害虫の防除体系の概念であり、1960年代にアメリカの農業分野で提唱されました。
例えば、ネズミを駆除するための殺鼠剤などを乱用すると、建物の価値や周囲の環境、私たちの健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

そこでIPMにおける防除では、発生時の対策よりも発生予防対策に重点を置きます。
ネズミが発生したことそのものより、ネズミが侵入する経路の防止策を考えます。

そのため、ネズミが生息している可能性がある場合は、ただちに薬物を使うのではなく、まずは発生源や侵入経路を徹底的に調査します。

しかし実際には、発生予防対策が軽視され、問題が発生してから対策に取り組むことが多いのが現状です。

そこで、IPMでは「ゼロ」を求めるのではなく、標準的な目標水準を設定しています。これにより、適切な環境衛生を維持しながら、適度な対策を行うことが可能になります。

IPMの水準

IPMでは、以下の三つの水準に分けて対応します。

許容水準

環境衛生が良好な状態を指します。調査の結果、許容水準であれば引き続き6カ月ごとに定期的な調査を行います。

警戒水準

将来的に問題となる可能性のある場所を指します。環境衛生が悪化している恐れがあるため、警戒水準に該当するエリアでは、清掃や整理整頓の状態を見直す必要があります。ネズミの糞の発生が繰り返す場合は、毒餌などの処置を行います。その際は、人に影響が起きないように毒餌があることを掲示します。

措置水準

実際にネズミやゴキブリが多数目撃され、即座に駆除作業が必要な状況を指します。この水準に達したエリアでは、環境的な対策と同時に、薬剤や器具を使用して駆除作業を行います。

IPMの水準具体例

ゴキブリを例にした場合は以下になります。

許容水準

以下のすべてに該当すること。

  • トラップによる捕獲数が0.5未満。
  • 1個のトラップに捕獲される数は2匹未満。
  • 生きたゴキブリが目撃されない。

警戒水準

以下のすべてに該当すること。

  • ラップによる捕獲指数が0.5以上1未満。
  • 1個のトラップに捕獲される数は2匹未満。
  • 生きたゴキブリが時に目撃される。

※許容水準および措置水準に該当しない場合は警戒水準とする。

措置水準

以下の状況のいずれか一つ以上に該当すること。

  • トラップによる捕獲指数が1以上。
  • 1個のトラップに捕獲される数が2匹以上。
  • 生きたゴキブリがかなり目撃される

害虫による健康被害の例

害虫駆除を怠うことで起こる健康被害の例を紹介します。
紹介する健康被害は近年の公衆衛生の向上により、起こることが少なくなりましたが、注意が必要です。

ネズミ類

ネズミの糞に触れてしまうと、感染症を引き起こすことがあります。例えば、サルモネラ症では食中毒が起こり、5〜48時間後には下痢や腹痛、発熱などの症状が現れます。
致死率は高くありませんが、免疫が低下している人や子供、高齢者が感染すると重篤化する可能性があります。

ゴキブリ

ゴキブリは、雑菌、細菌を持ち込み、人の健康に影響を与えることがあります。具体的には、サルモネラ菌、赤痢菌、チフス菌などがあります。
また、ゴキブリのフンや死骸が喘息やアレルギーの原因となることもあります。

チカイエカ

チカイエカは、冬でも地下で活動し人を刺すことがあります。主に夜間に吸血するイエカ(家蚊)の仲間です。後述する同じイエカのアカイエカは約20度~30度の気温を好んで活動しますが、冷房が効いたビルなどに生息するチカイエカは、10度くらいでも吸血活動を行います。
フィラリアの種であるバンクロフト糸状虫やウェストナイルウィルスを媒介することがあります。

チョウバエ

チョウバエは、排水管などから発生します。
成虫が食品に混入することで食中毒の原因になることがあります。食べ物に産卵をすることもあり、孵化した幼虫を飲み込むと腹痛・下痢といった症状の「ハエ症」を引き起こします。

コガタアカイエカ

コガタアカイエカは日本脳炎ウイルスを媒介します。日本脳炎は発症すると、死亡率が20〜40%で、生存者の45%〜75%には神経障害などの後遺症が残る可能性があります。
ワクチンの普及により、長い間日本脳炎の発症は減少していますが、このウイルスは致死率が高く、後遺症が残りやすい特徴を持っています。

ネッタイシマカ

ネッタイシマカはデング熱、チクングニア熱、ジカウイルス感染症を引き起こす可能性があります。デングウイルスに感染すると、高熱(38度以上)が出ます。症状は重症化すると歯ぐきからの出血など、命にかかわるものになることもあります。感染者の血を吸ったネッタイシマカが、非感染者の血を吸う際に感染すると言われています。

引用:Wikipedia

ユスリカ

自転車に乗っている時に、小さな虫の大群に巻き込まれた経験は誰しもあるでしょう。この正体であるユスリカと呼ばれる虫は、不快感を引き起こすだけでなく、アレルギー性の鼻炎やぜんそくの原因にもなります。

マダニ類

マダニに噛まれると、ウイルスや細菌を体内に持ち込まれてしまうことがあります。その結果、発熱や嘔吐、腹痛などの症状が現れることがあります。マダニが媒介する感染症としては、ライム病や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、日本紅斑熱などがあります。

これらの感染症には、現在のところワクチンや治療薬が存在しないため、国や市町村からも注意喚起が行われています。

ハエ

ハエは動物の排泄物や腐敗した食べ物、そして動物の死骸を通じて感染症を広げることがあります。たとえば、1997年には腸管性出血性大腸菌(O157)感染症や、2004年には初めて鳥インフルエンザがハエから検出された例があります。

ネズミノミ

ネズミに寄生し、増えるネズミノミは、宿主となるネズミがペスト菌に感染して死亡すると、血液を吸うために人間などに感染症を広げるとされています。感染すると2~7日の潜伏期間の後に高熱・悪寒・頭痛・痛みを伴うリンパ節の腫れなどが現れます。

セアカゴケグモ

セアカゴケグモはオーストラリア原産のクモで、コンテナなどを通じて持ち込まれた可能性があります。1995年に大阪府で初めて発見され、その後、全国の45都道府県で見つかっています。暖かい場所や物陰、隙間を好む傾向があります。セアカゴケグモは神経毒を持っており、噛まれると吐き気、発汗、発熱、頭痛、発疹、下痢、関節痛などの神経系の障害を引き起こすことがあります。

 

害虫の調査方法と駆除方法

上記の害虫のうち、一般的な事務所ビルの調査においては、まずはネズミ、ゴキブリ、チカイエカ、チョウバエの4つを対象に行います。
以下でご紹介する方法のうち粘着トラップ法、証跡調査法を実施することが多く、トラップに捕捉や目撃情報があれば、後日別の方法による調査、駆除をします。

害虫駆除の調査は、効果的な駆除を行うために重要です。無駄な薬物の使用を避けるためにも、害虫の発生状況を正確に把握する必要があります。調査を行うことでコスト削減になり、環境にも良い影響を与えます。調査をして早期に害虫の発生状況を把握することで、害虫の密度を低く抑えることができます。

調査方法

粘着トラップ法

ゴキブリを対象にした調査方法です。粘着トラップを厨房やビル内で発生が考えられる場所に設置します。

証跡調査法

ネズミの存在を調査するため、無毒の餌を配置して食べられているかどうかを確認したり、ネズミが通りそうな場所に黒紙を置いて足跡の数から生息状況を調査します。

粘着リボン法

ハエや蚊などの飛行昆虫を捕獲するために、粘着性のあるリボンを使用します。

粘着クリーナー法

ダニの密度を調査する方法です。ローラー式の粘着クリーナーを使い、顕微鏡で調査して単位面積あたりのダニの数を確認します。

ファン式ライトトラップ法

光を使って害虫を誘引するトラップです。蚊やハエのような害虫には効果的ですが、ゴキブリには効果がないため、ゴキブリの調査では上記の粘着トラップが使用されます。

駆除方法

残留処理

ゴキブリの行動習性を利用し、殺虫剤をゴキブリの通路や隠れ場所に散布します。特に有機りん剤といった残留性の高い殺虫剤を使用します。

空間処理

室内に薬剤を充満させ、部屋を30分から1時間閉め切り、駆除を行います。

毒餌処理

ゴキブリやネズミの排泄物のある場所に、ホウ酸団子などの毒餌を置く方法です。特に飲食店が入居している建物では、残留処理や空間処理に比べて効果的です。

粘着トラップ

トラップを効果的な場所に設置して、害虫が粘着面に触れ、身動きを取れなくすることで駆除します。

害虫駆除は専門業者に依頼しよう

害虫に関することは建物管理者の責任ですが、ほとんどの場合、専門業者に委託することが一般的です。なぜなら、害虫駆除には専門知識が必要であり、薬品は医薬品や医薬部外品として法的な承認を受けた殺虫剤や殺鼠剤を使用する必要があるからです。
つまり、取り扱いに注意が必要な薬品を使用しなければなりません。また、同じ薬品を継続して使用すると害虫が薬剤に対して抵抗性を持つ可能性があるため、異なる薬剤を使用する必要があります。
深く考えずに散布してしまうと、配電盤への影響といった建物内の備品への影響の問題が発生する可能性があります。
これらの理由から、専門知識を持った業者に害虫駆除を依頼することが重要です。
害虫駆除業者は、「建築物における衛生的環境の確保に関する事業」として登録されています。信頼できる業者に依頼することも、建物管理者の仕事です。

ぜひ、コニックスにご相談ください。
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