点検
太陽光発電の点検・メンテナンスは必要?義務化の状況や費用などを解説
太陽光発電の導入を検討していると点検・メンテナンスが必要なのか悩む方も多いのではないでしょうか。メンテナンス義務化の状況についてはネット上で調べても情報が錯綜しており、今一つ分かりづらいのが現状です。
この記事ではビルに設置する太陽光発電設備に焦点を絞り、メンテナンス義務化の状況やメンテナンス費用などについて解説します。
太陽光発電のメンテナンスが必要な理由
太陽光発電設備をビルに設置するならメンテナンスはほぼ必須と言っても過言ではありません。そのため、太陽光発電を導入するなら、同時にメンテナンス業者を検討しておくことが大切です。
ここからは、太陽光発電のメンテナンスが必要な理由を詳しく解説します。
法律で義務づけられているため
太陽光発電のメンテナンスに関わる規定は電気事業法第39条および電気事業法第40条よって定められています。義務の中身や程度はさまざまですが、出力10kW以上の太陽光発電設備では経済産業省が定める技術基準を満たすよう維持する義務があります。
さらに出力50kW以上の太陽光発電設備や高圧設備と電気的に接続している太陽光発電設備は、太陽光発電設備の維持・運用について保安を確保するために保安規定を定めて届け出る義務などがあります。そして、保安規定に基づいて点検しなければなりません。
太陽光発電のメンテナンスについて触れたサイトの中には、出力50kW未満の太陽光発電設備であればメンテナンスの義務はないとするものもあります。確かに出力50kW未満であれば、出力50kW以上の場合のように保安規定を定める義務はありません。
しかし、先述のように出力10kW以上の太陽光発電設備は経済産業省が定める技術基準を満たすよう維持する義務がある以上、必要に応じたメンテナンスが不可欠です。
またFIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)を利用して発電した電気を電力会社などに売却する場合、認定を取り消されないように出力にかかわらず適切な保守点検をしなければなりません。
太陽光発電のメンテナンス義務については法令をもとに詳しく後述します。
参考:
太陽電池発電設備を設置する場合の手引き|経済産業省
再生可能エネルギー固定価格買取制度ガイドブック2018年度版|資源エネルギー庁
安全性を保つため
太陽光発電のメンテナンスは安全性を保つためにも重要です。適切にメンテナンスをしないと、パネルや架台の倒壊や火災が発生する可能性があります。
実際、総務省消防庁によれば以下のような事故事例がありました。
- 配線を小動物がかじったことにより漏電が発生し、落ち葉に着火して出火
- 塩害による錆びで開口部ができ、水が浸入したことにより出火
倒壊や火災などの事故が発生してしまうと周囲の人の安全を脅かします。ビルやビルの周囲を安全に保つためにも適切なメンテナンスを行いましょう。
発電量を保つため
太陽光発電の発電量を保つためにもメンテナンスをする必要があります。太陽光発電設備は放っておくと発電量が下がっていってしまうからです。
発電量が下がる原因には以下のようなものがあります。
- 汚れの蓄積
- 経年劣化
- 冷却ファンの目詰まり
また、破損や故障が発生すると修理費用が必要になります。故障などを防ぎながら、十分に発電できる状態を保つためにも、太陽光発電のメンテナンスは重要です。
太陽光発電メンテナンス義務化の状況
太陽光発電メンテナンス義務化の状況は、発電設備の出力やFIT利用の有無によっても異なるのでやや複雑です。ビルに設置されやすい出力10kW以上の太陽光発電設備について、義務化の状況を簡単に表にすると以下の通りです。
出力10kW以上50kW未満 | 出力50kW以上 または 高圧設備と電気的に接続 | |
---|---|---|
FIT | ・経済産業省令で定める技術基準に適合するように設備を維持する義務がある ・適切に保守点検・維持管理をしなければFITの認定を取り消される | ・経済産業省令で定める技術基準に適合するように設備を維持する義務がある ・保安規程を定める義務などがある ・適切に保守点検・維持管理をしなければFITの認定を取り消される |
非FIT | ・経済産業省令で定める技術基準に適合するように設備を維持する義務がある | ・経済産業省令で定める技術基準に適合するように設備を維持する義務がある ・保安規程を定める義務などがある |
ここからはそれぞれ法令をもとに義務化の状況を詳しく解説していきます。
電気事業法による義務と罰則
電気事業法では、太陽光発電設備は出力に応じて以下のように取り扱われます。
太陽光発電設備の種類 | 電気事業法での取り扱い |
---|---|
出力50kW以上のもの ・高圧設備と電気的に接続しているもの | 自家用電気工作物 |
10kW以上50kW未満のもの | 小規模事業用電気工作物 |
繰り返し述べているように、いずれの場合も電気事業法第39条によって「経済産業省令で定める技術基準に適合するように電気工作物(この場合は太陽光発電設備)を維持する義務」があります。
電気事業法第39条に定められるように太陽光発電設備が維持されない場合は、電気事業法第40条によって、技術基準適合命令が出ます。
技術基準適合命令とは、経済産業省令で定める技術基準を満たすよう、事業用電気工作物(この場合は太陽光発電設備)の修理、改造、使用の一時停止などを命じるものです。技術基準適合命令に従わない場合は、電気事業法第118条第6号により、300万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
また、自家用電気工作物に該当する太陽光発電設備に関しては、「電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、保安規程を定めて届け出る義務」(電気事業法第42条)や「電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるために、電気主任技術者を選任して届け出る義務」(電気事業法第43条)などが定められています。
定めた保安規定をもとに点検を行う必要があるため、出力50kW以上の太陽光発電設備や、高圧設備と電気的に接続している太陽光発電設備では点検も義務です。
自家用電気工作物の保安点検に関しては以下の記事もご参照ください。
電気保安点検とは?受変電設備、自家用電気工作物の法定点検にも該当
改正FIT法による認定とペナルティ
FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)とは、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。
太陽光発電で発電した電力が収入につながるので利用する方もいます。FITを利用するためには、経済産業省から事業計画の認定を受けなければなりません。
改正FIT法(再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法)では、認定を受けるための条件の1つとして、「再生可能エネルギー発電事業の内容が、電気についてエネルギー源としての再生可能エネルギー電気の利用の促進に資するものとして経済産業省令で定める基準に適合するものであること」を挙げています(改正FIT法第9条第4項第1号)。
経済産業省令で定める基準は、改正FIT法施行規則第5条第3号で再生可能エネルギー発電設備を適切に保守点検及び維持管理するために必要な体制を整備し、実施するものであることが定められており、適切な保守点検と維持管理が必要です。
適切な保守点検などをせず、認定基準を満たさない状態になると、改正FIT法第15条により認定取り消しとなります。FITを利用するなら、太陽光発電の保守点検やメンテナンスは必須です。
太陽光発電の主なトラブル
太陽光発電の主なトラブル内容は以下のとおりです。
分類 | 具体例 | 予防策 |
---|---|---|
電気的トラブル | ホットスポット、配線の断線 | 定期的な熱画像診断、配線の目視点検 |
機械的トラブル | パネルのひび割れ、架台の緩み | 定期的な目視点検、架台の増し締め |
環境由来のトラブル | 雪の重みによる破損、台風による飛散 | 積雪対策の実施、台風時の事前点検 |
太陽光発電のメンテナンス内容
太陽光パネルのメンテナンスは、主に以下のような作業が含まれます。
パネルの清掃
太陽光パネルの表面に付着した埃や鳥の糞、落ち葉などを定期的に取り除きます。これにより、パネルの発電効率を最大限に保つことができます。清掃方法は以下の通りです:
- 柔らかい布や専用のブラシを使用
- 水道水や純水を使用(硬水は避ける)
- 洗剤は必要最小限に留める
- 高圧洗浄機の使用は避ける
接続部の確認
太陽光パネルシステムには多くの電気接続部があり、これらの点検も重要です。
- ケーブルの緩みや損傷の確認
- コネクタの腐食チェック
- 接続箱内部の点検
接続部の不具合は発電効率の低下だけでなく、火災のリスクにもつながる可能性があります。専門知識が必要なため、この作業は通常、専門業者に依頼します。
パワコンの点検
パワーコンディショナー(パワコン)は太陽光発電システムの心臓部とも言える重要な機器です。以下のような点検が必要です:
- 動作音の確認(異音がしていないか)
- 表示パネルのエラーメッセージチェック
- 内部フィルターの清掃(機種による)
- 冷却ファンの動作確認
その他
上記以外にも、以下のような点検・メンテナンス作業が必要です:
- 架台やフレームの腐食・緩みチェック
- 雨漏りの有無確認(屋根設置型の場合)
- 積雪地域での除雪作業
- 周辺の樹木の剪定(日陰ができないように)
太陽光発電のメンテナンス費用の目安
太陽光発電のメンテナンス費用目安は以下の通りです。
太陽光発電設備の種類 | 年間のメンテナンス費用目安 |
---|---|
出力50kW以上のもの | 約50万円~ |
10kW以上50kW未満のもの | 約10万~ |
費用はメンテナンス頻度や設備の規模によっても大きく変わるので、あくまで目安として参考にしてください。
メンテナンス頻度はそれぞれの太陽光発電設備によって異なります。年間どのくらいメンテナンスや点検が必要か業者と相談し、見積もりを取りましょう。
太陽光発電のメンテナンスは自分でできるか
太陽光発電のメンテナンスは原則として自分ではできません。簡単な目視確認であれば自分でもできる場合がありますが、精密な点検などは専門の業者が行う必要があります。
無理に自分でメンテナンスしようとすると、感電や設備破損の危険があります。メンテナンスは業者に依頼しましょう。
太陽光発電のメンテナンスは太陽光発電専門の業者はもちろん、当社のようなビルメンテナンス業者でも対応できる場合があります。
当社の強み・メリット
総合ビルメンテナンス企業である当社は、太陽光発電のご相談、メンテナンス含め、様々なビルにまつわるメンテナンスを一手に受けられます。以下のような強みがありますので、ビルメンテナンスに関して何かご相談がありましたら、ぜひ、コニックスにご相談ください。
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